2007年3月ロック☆オペラ『TOMMY』

2007年3月〜4月にかけて、東京の日生劇場・大阪のシアタードラマシティで、ロック☆オペラ『TOMMY』に出演しました。
ブロードウェイ版を下敷きとした『TOMMY』の表現手法は、映画やブロードウェイ版とは異なり、LEDによる映像を多用して物語を説明するスタイルで、セリフがほとんどありませんでした。
劇団☆新感線の演出家・いのうえひでのりによるThe Whoのロック音楽へのリスペクトも練りこまれた斬新な作品でした。

トンハさんが演じたウォーカー大尉役は、父親役というキャラクターも、全編ロックであるという音楽性も、出番の多さでも、これまで演じてきた役とは対極にあるものを非常に高いレベルで要求される、挑戦的で、これまでにない役柄でした。
舞台上では、どこか冷めて懐疑的ですらある父親像を作り上げるとともに、ミュージカルで鍛えた歌唱力の強さの上に思い切りのよい個性的なシャウトを乗せて新しい一面としてのロックを歌ってみせ、観客を驚かせました。
ただ清廉潔白なだけではすまない家族の複雑な心理や、オリジナルができた当時の反戦的思想を彷彿とさせ、同時に現代の抱える矛盾を風刺するものだったと思います。
ロックの歌唱と、新しい役柄への挑戦は、ミュージカル俳優としての表現性を広げる大きなターニングポイントとなったのではないでしょうか。