2009年4~6月『初恋探し株式会社』

トンハさんは、2009年初頭に韓国へ帰国してすぐ、『初恋探し株式会社』の4thシーズンに出演しました。
再演ということで演じなれた作品かと思いきや、舞台セットは前回からグレードアップし、脚本にも少し手が加えられており、キャストも大きく様変わりした中での再登板。
ジャジーな音楽やアップテンポなストーリー展開で、観客は大いに沸いていました。

トンハさんが演じたのは、前回と同じくちょっと情けなさが漂ういい人「パク・トンハ」(同名の男性役)と、限りなくハンサムで知性溢れる理想の男性「キム・ジョンウク」の二役。
3人しか出演者がいない小劇場の舞台の上で、一人の肉体が瞬間的に二役を演じ分けますが、トンハさんは立ち居振る舞いからちょっとした声の出し方などで徹底してキム・ジョンウクを作り上げていました。
その一方で、パク・トンハを演じるときには、声の張りやくるくると変わる表情が自然で印象的でした。
また、歌においても、トンハさんのパートだけ前回からアレンジを変えた部分があり、全体的に遊び心のある歌唱で余裕を見せました。

ただ、このところ大役が続いていたこともあり、トンハさんの力量に対して、劇場、役、共演者が小さく見えてしまいました。
今回共演したかたも好演はしていましたが、前回のオ・ナラ、チン・ソンギュ、イム・ギホンといった実力のあるキャストと比較すると、若干粒の小ささを感じざるを得ませんでした。

ところで、ミュージカルの再演時に問題となるのは、無意識に前回の段取りを踏襲してしまう結果新鮮味がなくなったり、観客が前回の感覚を覚えておりそれ以上の完成度を期待しすぎてしまうことなどがあります。
今回の再演においては、かなり積極的にキャスト変更やシーンの追加・変更がなされていましたが、残念ながら必ずしもそれが作品に生きているわけではありませんでした。
また、トンハさんの出演していた回は9割以上のシートが埋まっていましたが、平日の売れ行きは決して芳しくはなかったようです。
上演するたびに90%以上の動員を誇り、2006年から4回の再演ロングランを繰り返しており、エンターテインメント性の完成度の高い良作ではあるのですが、酷使しすぎではないかという印象です。
再演はスパンを長めに取って、作品を休める・寝かせ、大切に再演の機会を狙っていくのが良いのではないでしょうか。

公演詳細

2009年4月14日~5月30日
대학로 예술마당 1관
서울시 종로구 이화동 139번지 예술마당
지하철 지하철 4호선 혜화역 2번 출구
노선버스 마로니에 공원역 하차
(ソウル市鍾路区梨花洞 139番 テハンノ芸術マダン1館 地下鉄 4号線恵化駅 2番出口 バス マロニエ公園駅下車。)

キャストスケジュール(時間がないのでとりあえずCJのチケットサイトからキャストスケジュールの画像をそのまま引用。韓国語表示のままです。)