2008年3月〜5月『火の鳥』

2008年3月〜5月にかけて、多摩・千葉・新宿・秋田の4箇所で行われたわらび座ミュージカル『火の鳥』に主演しました。
原作はもちろん、手塚治虫原作の『火の鳥』。その中でもひときわ人気が高い鳳凰編のミュージカル化。
演出は新国立劇場の日本初の芸術監督となった栗山民也。
そして音楽監督は、多くのミュージカルで賞を得ている甲斐正人。
一流のスタッフと共に、手塚治虫生誕80周年記念の公演に、客演という形での参加となりました。

トンハさんが演じたのは、醜い盗賊の頭・我王。
これまで演じてきた役柄は2枚目系が多く、初めてと言ってもよい役回りです。
ましてトンハさんにはなじみが薄いであろう8世紀半ばの日本という時代に生きる男の片腕と醜さへのコンプレックスを、その端正な容貌やバランスの良い肢体でどのように表現するのか、注目していました。

果たして、舞台に現れたのは、これまでにどの舞台でも観たことがない人間像でした。
一声発した途端に、客席が息を飲みました。顔の半分をあざで覆っただけでなく、姿勢や歩き方も美しい声さえ押し殺し、完全に汚濁の中に身を堕とした、型破りで命を何とも思わぬ残酷な盗賊。そんな我王が、自分を慕う速魚(碓井涼子:わらび座)との間にささやかな愛が芽生え、良弁(本間識章)との旅の中で押し隠してきた情を育み、生まれ変わっていく様子を、鮮烈に激しく演じきりました。

これまで「パク・トンハ」といえば、ダイナミックな高い歌唱力が何よりの武器であると評価されてきました。
しかし、私は歌唱力以上に、トンハさんの「役の解釈力」「物語をつむぐ力」に強い興味を持っています。
いつもトンハさんは役に対して知的かつ綿密なアプローチを試みているのが見受けられ、それゆえに安定した高いレベルの表現を送り出しています。
しかし今回は、トンハさんがそのまま我王に入り込んで生きているような、直感的で情緒的な部分を強く感じました。
常識の枠に囚われて自分から可能性を閉ざしてしまいがちな人間の意識を、我王というキャラクターは、苦悶のなかからなんと激しく破り、覆し、そしてそのエネルギーを解放していくのでしょうか。
『TOMMY』で見せたファルセットも駆使し、歌の力で我王の激しい生を表わしただけではなく、それ以上に演技によってその容貌さえ醜く見えるほど我王として舞台に生きたトンハさんは、主役としての芯を強く持って作品を牽引する存在として、光を放っていました。
また、劇団規模の大きさの割に注目されてこなかったわらび座の主要キャストが、丁寧に役に取り組み、実直に実力を発揮して演じていたことも、非常に良かったです。
雪深い秋田でお稽古を重ねその雪が融けて花が咲くように、トンハさんの中から生まれ出た我王、そしてわらび座の『火の鳥』。
とかく技術偏向や人気取りに走りがちなミュージカル界に一石を投じると共に、手塚治虫の火の鳥の世界観を壊すことなく再構築してみせた、大変興味深い作品になりました。

公演詳細

手塚治虫生誕80周年記念ミュージカル『火の鳥ー鳳凰編ー』
原作:手塚治虫
演出:栗山民也
脚本:齋藤雅文
音楽:甲斐正人
美術:妹尾河童
協賛:手塚プロダクション・角川書店
企画制作:劇団わらび座

我王 パク・トンハ(東宝芸能)2008年5月15日まで
※2008年7月5・6日(兵庫県西宮市)に特別出演
茜丸 戎本 みろ
速魚 碓井 涼子
ブチ 今泉 由香(M.T.プロジェクト)2008年5月15日まで
ブチ 田郷 真友 2008年5月15日以降7月公演
橘諸兄 椿 康寛
吉備真備 中山 城治(フリー)
藤原仲麻呂 岡村 雄三
良弁 本間 識章(フリー)
役人 平野 進一
若者 長掛 憲司
若者 森下 彰夫
若者 渡部 徹(ポートランド太鼓)
若者 内田 勝之(パフォーミング・アート・センター)
若者 森山 晶之(劇団M.M.C)
ミカド 飯野 裕子
若者 遠藤 浩子
若者 小林 すず
川の精 田郷 真友
川の精 末武 あすなろ
川の精 山口 貴久子
火の鳥(声) 新妻 聖子

<平成19年度多摩・島しょ子ども体験塾市町村助成事業/
パルテノン多摩開館20周年記念事業プレビュー公演>

【開催日時】 2008年3月28日(金) 19:00
       2008年3月29日(土) 14:00
【会 場】 パルテノン多摩 大ホール
【料 金】 多摩・島しょ子ども体験塾市町村助成事業特別価格
      一般・アテナ\2,000 
      小・中学生\1,000
      多摩・町田・稲城エリア先行発売12/15[土]
      一般発売は1/12[土]
      *託児サービス*
       公演日2週間前までに、チケットパルテノンにお申込みください。
       対象 1歳半以上、一人500円
【チケットの取り扱い】
 ■チケットパルテノン 042-376-8181 10:00〜19:00(休館日を除く毎日)
 ■チケットぴあ http://t.pia.co.jp/
 ■多摩市役所売店(電話予約なし)
【お問合せ】 パルテノン多摩 042-375-1414

<「ふっつ学びの門」実行委員会主催 千葉・富津市公演>

公演日 平成20年3月30日(日)
場 所 富津公民館
時 間 午後5時30分開場  午後6時開演
〔チケット販売〕
販売期間 12月21日(金)〜平成20年2月29日(金)
販売時間  午前9時〜午後5時
チケット料金 S席3,800円 A席3,000円
販売窓口  生涯学習課 80-1345
中央公民館 65-2251
富津公民館 87-8381
市民会館   67-3112

<新宿文化センターリニューアル記念・新宿未来特使鉄腕アトム5周年記念>

●新宿文化センター
4月25日 19:00〜
4月26日 14:00〜
4月26日 19:00〜
4月27日 14:00〜
4月27日 19:00〜
4月29日 14:00〜
4月29日 19:00〜
4月30日 14:00〜
4月30日 19:00〜
5月 2日 14:00〜
5月 2日 19:00〜
5月 3日 昼公演貸切
5月 3日 19:00〜 終演後『火の鳥』CDを買ったかた限定パク・トンハサイン会あり。
5月 4日 14:00〜
5月 4日 19:00〜
http://www.city.shinjuku.tokyo.jp/whatsnew/pub/2007/1107-01.html プレスリリース

<わらび劇場公演>

● わらび劇場【秋田県仙北市】
5月11日 14:00〜
5月12日 14:00〜
5月13日 14:00〜
5月14日 14:00〜
5月15日 14:00〜
5/14公演後、田沢湖ビールレストランにて「ハングルを楽しむ会」開催。
【対象】
韓国に興味がある人なら誰でもOK! ただし、期間中ミュージカル『火の鳥』を観劇する方に限る。
【参加費】 2,100円(税込み) 〔立食ビュッフェ、企画費込み〕
(※観劇料は、別途下記料金がかかります。 前売指定席料金 3,675円(税込み))
【お申し込み・お問い合わせ】
予約センター 0187-44-3939
わらび劇場 0187-44-3915(わらび座ホームページより転載)

<兵庫公演>

●兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)
7月5日 14:00〜、19:00〜
7月6日 14:00〜

<新宿ファイナル公演>

●火の鳥 新宿文化センター 大ホール (東京都 新宿区)
2010年2月18日(木) 開演時間 19:00
2010年2月19日(金) 開演時間 19:00
2010年2月20日(土) 開演時間 14:00
2010年2月20日(土) 開演時間 19:00
2010年2月21日(日) 開演時間 14:00
指定席 : S7000円 A6000円