2008年1月~2月『ファントム』

2008年1月~2月、パクトンハさんは、ミュージカル『ファントム』の大阪・東京公演で、フィリップ・ド・シャンドン伯爵を演じました。
ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を別解釈・演出したコピット版を翻訳・上演したこの作品は、宝塚公演が好評で、演出にグランドミュージカル初となる鈴木勝秀を起用、俳優の大沢たかおが初ミュージカル出演、歌姫クリスティーンに19歳で初舞台となる徳永えりを大抜擢、周囲もミュージシャンや外国で活躍している俳優など、インターナショナルかつバラエティに富んだ冒険的なキャスティングで、開演前から注目されていました。
中でも、トンハさんは、『エリザベート』ウィーン版で皇太子ルドルフを演じたルカス・ペルマンとのダブルキャスト。
言葉の壁を越えて演じるダブル・ルドルフに、観客たちは期待すると同時に厳しい視線を送っていたことは否めません。
ルカスには「日本語できるの?」「無理でしょ」、トンハさんには「あの王子様・ルカスとダブルで伯爵なんてできるの?」、そして舞台慣れしない観客からは二人とも「誰?」と…。
開演してみると、出演シーンは少なく、曲は一曲のみ、しかし気品ある立ち居振る舞いや短い台詞に意味を込めるよう求められました。
ルカスの日本語はボロボロで聞き取ることも困難、トンハさんも『ラムネ』のときには日本語のアクセント・イントネーションを完璧に使いこなしていたのに、韓国から帰ったばかりなせいか韓国語なまりが抜けず悪戦苦闘。
しかも開演直後は、残念ながら立ち居振る舞い・歌唱の点で完璧な王子様ルカスに若干水を開けられた格好になりました。

しかし、日を追うごとにトンハさんの台詞のなまりは矯正され、中盤には完璧に台詞を操っていました。
また、その伯爵像は、微笑みを絶やさず、他人と繋がって共有することを喜びとする、人の中で愛し愛されて生きてきた存在へと集約されていました。
歌・芝居とも、愛と温もりに餓え喘いでいるエリックと対照的でありながら、作品のテーマを侵食しないようセーブされ、綿密にコントロールされていたと感じました。

しかし、大沢たかおがミュージカル俳優としては技術的に未熟であり歌唱力は致命的な酷さながらも情感に溢れた演技を見せ、初舞台の徳永えりの芝居がどんどん他の演者とリンクして生き生きと垢抜けていくのを目の当たりにしたことで、私の目には、トンハさん自身の今後のお芝居への課題も浮き彫りになりました。
課題、それはあまりにも真面目に役作りされすぎて芝居が固まってしまい、役を生きることに欠けていたということ、感情のふれあいから生まれる演技の発展が見られなかったということです。

見せ方が美しく、真面目にひとつのことを追求して完成させていく姿勢は、トンハさんの稀有な素晴らしい長所です。
しかし今回は立ち居振る舞いやポーズの形に囚われたせいか、心の動きが見え難かったと感じました。

2007年には主役を2作品務め、今回俳優としてグランドミュージカルでプリンシパル級の役を得たのは、素晴らしい飛躍です。
しかし、これからも大役を演じたいのであれば、本当に俳優として出さなければならないものを全てさらけ出し、常に安定した評価を受けなければならない、毎回が正念場になっていくであろうという予感を秘めた『ファントム』公演となりました。

公演詳細

ミュージカル” ファントム”

【ファントム・エリック】 大沢たかお
【シャンドン伯爵・フィリップ】 ルカス・ペルマン、パク・トンハ (Wキャスト)
【上演台本・演出】 鈴木勝秀
【脚本】 アーサー・コピット
【作詞•作曲】 モーリー・イェストン

ミュージカル『ファントム』テレビ特番・朝日放送(近畿ローカル)にて放送
作品が出来上がるまでに密着した約60分番組。放送間近!!要チェキ!!
放送日時:1月12日(土)午前10:25~11:20
放送局:朝日放送(6ch)

<大阪公演/梅田芸術劇場メインホール>
1月13日(日)~1月27日(日)
1月15日(火)、1月21日(月)は休演
ルカス・ぺルマン出演日
  1月13日(日)3:00PM / 1月14日(月祝)6:00PM / 1月17日(木)1:00PM /
  1月18日(金)6:30PM / 1月19日(土)6:00PM / 1月22日(火)6:30PM /
  1月24日(木)6:30PM / 1月25日(金)1:00PM / 1月26日(土)6:00PM
パク・トンハ出演日
  1月14日(月祝)1:00PM / 1月16日(水)6:30PM / 1月19日(土)1:00PM /
  1月20日(日)3:00PM / 1月23日(水)1:00PM / 1月26日(土)1:00PM /
  1月27日(日)3:00PM

■1月14日18:00開演の部
ひと月早いファントム・St.Valentine NIGHT バレンタイン限定メッセージカードプレゼント&大沢たかおスペシャル・カーテンコール
■1月22日18:30開演の部
姿月あさと&ルカス・ペルマン アフタートーク&スペシャルライブ
■1月24日18:30開演の部
姿月あさと&ルカス・ペルマン アフタートーク&スペシャルライブ

□料金:S席12,500円、A席8,000円、B席5,000円
□一般発売:9月22日(土)
※未就学児童の入場不可


●名古屋公演/愛知厚生年金会館●
2月1日(金)6:30PM / 2月2日(土)昼12:00・5:00PM / 2月3日(日)2:00PM
名古屋公演は4公演ともルカス・ぺルマンが出演。(トンハさんは出演しません。)
□料金:S席12,500円、A席9,000円
□一般発売:11月10日(土)
※未就学児童の入場不可


●東京公演/青山劇場●
2月7日(木)~2月22日(金)
2月12日(火)は休演

ルカス・ぺルマン出演日
  2月7日(木)7:00PM / 2月8日(金)7:00PM / 2月9日(土)6:00PM /
  2月11日(月祝)1:00PM / 2月13日(水)2:00PM / 2月14日(木)7:00PM /
  2月15日(金)7:00PM / 2月16日(土)6:00PM / 2月18日(月)7:00PM
パク・トンハ出演日
  2月9日(土)1:00PM / 2月10日(日)3:00PM / 2月16日(土)1:00PM /
  2月17日(日)3:00PM / 2月19日(火)7:00PM / 2月20日(水)2:00PM /
  2月21日(木)2:00PM・7:00PM / 2月22日(金)2:00PM

■2月14日 19:00開演の部
ファントム・St.Valentine NIGHT バレンタイン限定メッセージカードプレゼント&大沢たかおスペシャル・カーテンコール
■2月19日 19:00開演の部
姿月あさと&伊藤ヨタロウ&パク・トンハ アフタートーク&スペシャルライブ

□料金:S席12,500円、A席9,000円
□一般発売:9月22日(土)
※未就学児童の入場不可